桜なべ中江

四代目店主

江戸時代から文化を育んできた町・
吉原で生まれた、東京の郷土料理「桜なべ」

桜なべとは、江戸時代から文化を育んできた町・吉原で生まれた、東京の郷土料理である馬肉のすき焼き鍋のことです。

中江の馬肉は「本当に馬肉ですか?」と言われることがあります。
獣臭さもまったくなく、旨味があり、あっさりとしていて、今まで食べてきた馬肉のイメージをガラッと変えるほど、美味しい馬肉なのです。従来の馬肉のイメージを覆したい方、味だけでなく文化的な要素も味わいたい方、とにかく本当においしい馬肉が食べたい方におすすめいたします。

何代も、家族の記憶に残る桜なべを

味だけでなく、中江には百十余年の歴史と築百年の店舗があります。
関東大震災で倒壊した翌年に再建され、東京大空襲では奇跡的に難を逃れ、築百年を迎える本店店舗は国の有形文化財に登録されています。

この、百年変わらぬ店内で、おじいちゃんに連れられてきた孫が大きくなり、今度はその孫が自分の孫を連れてきて一緒にお酒を飲んでいます。
何代にもわたって来ていただいているのは、その家の記憶の中に中江があるから。中江は「いま」だけではなく、過去や未来も大切にできる場所なのです。
七五三のお祝いをしたとか、お誕生日でみんなが集まったとか、仲のいいお友達とのお食事会とか、人生の節目から普段のお食事まで、中江は楽しい記憶に残る場所でありたいと思っています。みなさまの歴史の一部に中江を加えていただけたら、こんな嬉しいことはありません。そのために、これまでも続いてきましたし、これからも何代も続けていきます。

中江の長い歴史の中で

四代目の私の前に3代おりますが、震災や戦争など、教科書に載っているような歴史的なできごとに遭遇し、それでも店を守ってきました。
先代までと比べて、自分だけ大きな歴史的事件に遭っていなかったと思っていましたが、2020年から新型コロナウィルスの世界的なまん延が起こりました。大変なことではありながらも、これを乗り越えたらやっと先代と並べられると思ったのです。
新メニューや新規事業の開発、得意先の急減で困っている取引先や同業者さんとのコラボ、四代目から五代目への事業承継計画への取り組みなど、いろいろと工夫しようと思えたのも、先代たちが乗り越えてきた歴史のおかげで、前向きに考えられたからかもしれません。

馬肉の地位向上のため、
馬肉王として活動します!

馬肉は牛、豚、鶏など他の肉に比べてかなり流通の少ない食肉で、手軽に購入できる場所がほとんどありません。
国内で馬肉を生産しているところも少ないし、海外でも一般的な食材とは言えません。
でも、馬肉は、低カロリー、低脂肪、高タンパクでコラーゲン豊富な健康と美容にお勧めの食材で、徹底した品質管理で生食できる安全な肉です。

だからこそ、
美味しくて安全な純国産馬肉が安定して生産されるようにしたい
馬肉を日本全国どこでも一般的に食べられる食材として普及したい
馬肉食が普及することで社会に貢献したい
この3つを行うことで「美味しい馬肉を食べていただき、皆様を幸せにしたい」と思っています。

手前味噌ではありますが、中江専用純国産桜肉(馬肉)は本当に美味しい食材です。
世の中に美味しい食材はたくさんありますが、私は純国産桜肉の美味しさは格別だと思っています。

その純国産馬肉をもっと世の中に広め、おいしく食べていただくために、「馬肉王」として馬肉の地位が向上できるように活動していこうと思っています。

しかし馬肉王への道は険しく遠い道のりです。

たとえば、馬肉にまつわる制度。牛も馬も血統書というものがあるのですが、牛は食肉としての血統書であるのに対して、馬は競走馬としての血統書なのです。おそらく、馬は食肉としてよりも使役や戦争の道具として使われてきた歴史があるからでしょう。また、美味しい馬肉が食べられるようになるための品種改良や生産性向上のための設備投資、研究投資、人材育成に関する補助金や制度も乏しいため、いくつもの制度を変えていく必要があります。

さらに、馬肉の魅力や美味しさを伝え、馬肉に対するイメージも正しく持っていただく努力もしなくてはなりません。
そのためには、とても一人では力不足だと考えています。ぜひともみなさんのお力が必要です。

「馬肉王」への道をチャレンジするために仲間になっていただけませんか?
そして、一緒に味の頂点に立ちましょう!

馬肉食文化を育んでくれた吉原への想い

中江の店舗がある吉原は、江戸時代から様々な文化が発祥し、「文化のゆりかご」とも言われてきた町です。
現代でも、歌舞伎や落語には吉原が舞台として多数登場します。「冷やかす」「モテる」「振られる」などの吉原発祥の言葉は今でも使われています。
その中で、「最中」「きんつば」「日本そば」と並んで「桜鍋」が吉原発祥の食べ物として今でも多くの方の口に運ばれているのは大変名誉なことです。
更にかつてはヘアスタイル、メイク、衣装などの当時の流行の発信地・中心地であり、歌舞伎や相撲を金銭的に支え、社交の場でもありました。それにもかかわらず、現在は「風俗」という点でのみしか評価されず、吉原といえば風俗街だとしか思われないこの町が気の毒に感じています。

そのため、町への感謝の気持ちとして、桜なべ中江がある「吉原」という町の文化的、歴史的価値を正しく再認識していただくことでの社会的地位を向上させ、「吉原」の文化や歴史に対して敬意を持ち、好意的に取り扱われる社会を作りたいと思っています。

「馬肉食文化を育んでくれた吉原という町に敬意を持ち、美味しくて体に良い馬肉を食べるという文化を、築100年の文化財店舗とともにこれからも伝承し続けることで、多くの人々に健康で豊かな生活を送っていただく」
というビジョンを明確にし、これからも励んでいきたいと思っています。

これからも末永く、桜なべ中江をご贔屓にしていただけますようお願い申し上げます。

四代目店主
中江 白志

四代目店主 中江白志